日本管理会計学会
The Japanese Association of Management Accounting
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リサーチセミナー

2017年度第2回リサーチセミナー開催と報告者募集について

2017年8月12日|リサーチセミナー担当 澤邉紀生

日本管理会計学会会員各位

拝啓 残暑の候、先生方にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、日本管理会計学会2017年度の第2回リサーチセミナーを
日本原価計算研究学会との共催で2017年10月21日(土)に明治
大学にて開催いたします。

それに伴いまして、リサーチセミナー報告者を募集致します。
報告を希望される方は、下記の要領をご参考の上、ご応募をお願い致します。
ただし、会場やプログラムの都合により、ご報告のご希望に沿えない場合が
ありますことを何卒ご容赦ください。

なお、プラグラムの詳細は、後日改めてご案内させていただく予定です。
当日は、多くの方のご参加をお待ち申し上げております。
                           敬具

             記
開催日時:2017年10月21日(土)13時30分開始(予定)
会場:明治大学駿河台キャンパスアカデミーコモン309B教室
 周辺駅からのアクセスマップ
 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
 キャンパスマップ
 http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html

<応募要領>
1.締切日:2017年9月22日(金)
2.応募方法:下記を明記の上、メールにて応募ください。
(1) 報告タイトルと概要(200?300字程度):
(2) 氏名:
(3) 所属機関:
(4) 職名:
(5) 連絡先:
(6) プレゼン機器使用(PC、プロジェクター)の有無:
3. 応募先:京都大学 澤邉 紀生
sawabe-secretaryXXXecon.kyoto-u.ac.jp (XXXを半角アットマークに変更してください.)

2016年度第2回企業研究会&リサーチセミナーのご案内

2017年2月20日|亜細亜大学 大島正克

 日本管理会計学会会員の皆様
 
 会員の皆様には、ますますご健勝のことと存じます。
 以下のように、第2回の企業研究会&リサーチセミナーを開催させて戴きますので、ご参加のほど、よろしくお願い申し上げます。
                                      会長 原田 昇

研究企業
 センコー株式会社(東京本社)
 〒135-0052 東京都江東区潮見2?8?10
 TEL? 03-6862-7150
 最寄駅 JR京葉線 潮見駅より徒歩5分

【スケジュール】 3月14日(火)
10:15 集合(京葉線潮見駅改札口、なお改札口は一つです)
    徒歩にてセンコー(株)様へ向かう。
10:35 挨拶
10:45 開始(本社その他の物流施設見学、川瀬常務様によるセンコー(株)の経営戦略のプレゼンテーション:物流戦略、アジアの基幹物流など)(120分)
12:45 昼食(センコー様の2階の食堂)
13:45 リサーチセミナー:岡村久和先生の講演
    「ビッグデータの利用と経営戦略」(講演と質疑)(90分)
15:15 挨拶・解散

 昼食は、センコー様のご厚意により、センコー様がご提供してくださることになりました。心より御礼申し上げます。

お世話役:大島正克(亜細亜大学)
ご参加希望の方は、3月5日(日)までに大島正克の以下のメールアドレスに、お名前、ご所属、よろしければ携帯電話の電話番号をお書きの上、お申し込みください。

oshima @ asia-u.ac.jp

 参加者名簿を作成させて戴きますともに、センコー株式会社様に、お名前とご所属の名簿をご報告させて戴きます。

2015年度 第1回リサーチ・セミナー開催記

2015年11月 7日|青山学院大学 楠 由記子

2015seminar.jpg

■■ 2015年度第1回リサーチ・セミナーは、2015年6月20日(土)に名古屋大学経済学部文系総合館7階カンファレンスホールにおいて開催された。今回のリサーチ・セミナーは、メルコ学術振興財団との共催で開催され、講演と研究報告という2部構成で行われた。日本管理会計学会の木村彰吾副会長の司会のもと、日本管理会計学会の原田昇会長、メルコ学術振興財団の上總康行代表理事の挨拶をいただいた後、井上眞一氏(トヨタ自動車生技管理部)の講演および小林英幸氏(名古屋大学大学院)の研究報告が行われ、いずれも参加者から活発な質問や意見があり、有意義な議論が展開された。

【講演】井上眞一氏(トヨタ自動車生技管理部)
 「自動車ボデーの生産準備とDE活用?生産技術の役割?」

 井上眞一氏による講演では、「自動車ボデーの生産準備とDE活用?生産技術の役割?」と題して、トヨタ自動車における生産準備の役割について、具体的な生産技術の変遷などを交えて解説していただいた。講演ではまず、アナログ時代の生産準備としてFBL(フレキシブルボデーライン)の意義や導入効果について言及された。その後、デジタル時代の生産準備としてDE(デジタル・エンジニアリング)を取り上げ、その意義や効果、活用事例について説明された。井上氏は、DEの導入によって迅速な製品検討が可能となり、研究開発期間の短縮などのメリットを享受できる一方で、デジタル化に伴うリスクも発生することを指摘した上で、現地現物による知識と経験に基づいたデジタルを実践する必要性を最後に主張された。

【研究報告】小林英幸氏(名古屋大学大学院経済学研究科後期博士課程3年)
 「原価企画に対するエンジニアの受容」

 小林英幸氏は、トヨタ自動車の原価企画において、マネジメント・コントロールはどのように働いているのかを明らかにするため、アンケートおよびインタビュー調査を用いた研究報告を行った。小林氏はまず、トヨタ自動車の原価企画について説明した上で、3つの観点(CE、設計者、関係5部署)からのアンケート・インタビュー調査の概要と結果を説明された。次に、それらのアンケート・インタビュー結果の解析を行い、3つの観点では、原価企画の捉え方が異なっていることを明らかにしている。その上で、(1)Simons(1995)の4つのコントロール・レバー、(2)Malmi and Brown(2008)のパッケージとしてのマネジメント・コントロール・システム、(3)Ouchi(1979)のクラン・コントロール、という3つの先行研究を用いて、トヨタ自動車の原価企画のマネジメント・コントロール・システムについて検討している。その結果、上記の先行研究を用いると、トヨタ自動車の原価企画のマネジメント・コントロール・システムの働きは概ね説明できると主張された。最後に、CE制度を「是」として捉え、その長所を活かし課題を克服するヒントを述べ、トヨタ自動車の製品開発および原価企画のあり方への提言としてまとめられた。

2014年度 第1回リサーチ・セミナー開催記

2014年12月19日|楠 由記子(青山学院大学)

2013research_1.jpg■■ 2014年度第1回リサーチ・セミナーは、2014年11月1日(土)に名古屋大学大学院経済学研究科第1会議室において開催された。今回のリサーチ・セミナーは、近年、管理会計分野でも係わり合いがでてきた行動ファイナンス分野の研究方法論の紹介と研究報告という2部構成で行われた。日本管理会計学会の木村彰吾副会長からの開会の挨拶の後、加藤英明氏(名古屋大学大学院)の講演および山本達司氏(大阪大学大学院)の研究報告が行われ、いずれも参加者から活発な質問や意見があり、有意義な議論が展開された。

【講師】加藤英明氏(名古屋大学大学院経済学研究科教授)
 「行動ファイナンスへの招待」
 加藤英明氏による講演では、「行動ファイナンスへの招待」と題して、行動ファイナンスの研究方法論について解説していただいた。講演ではまず、伝統的なファイナンス論を代表する概念や理論について言及した後、それらに問題点やアノマリーが存在することを既存研究の紹介を交えながら説明された。そして、非合理的な投資家や経営者の存在に着目し、行動ファイナンスの考え方を用いてファイナンス理論を説明する方法について解説された。最後に、非合理な行動を説明する可能性のある代理変数などを例示するとともに、現在の研究の流れや今後の研究課題について述べられた。

【報告者】山本達司氏(大阪大学大学院経済学研究科教授)
 Prof. Tatsushi Yamamoto (Osaka University), Prof. Katsuhiko Muramiya (Osaka University) and Prof. Takashi Yamasaki (Kobe University)
 "Stock Crash and R-squared around a Catastrophic Event: Evidence from the Great East Japan Earthquake"
 山本達司氏は、財務報告の曖昧さがクラッシュリスクに与える影響について、モデル設定と実証分析の観点から報告された。山本氏はまず、株価暴落のリスクを示すクラッシュリスクについて説明され、株価暴落に影響を与える要因の一つとして企業の外生的要因に着目し、外生的要因によるクラッシュリスクに関心があることを説明された。次に、先行研究の紹介をした上で、本報告におけるモデルと仮説の設定および分析について説明された。本報告では外生的要因(ショック)として東日本大震災を取り上げており、財務報告の曖昧さが高まるほど、自然災害などの外生的要因が起こった際には、クラッシュリスクがより高まることを実証的に明らかにしている。最後に、本報告のインプリケーションとして、投資家に対しては財務報告の曖昧さが高い企業ほど株価のクラッシュが起きやすいことを注意喚起でき、また、経営者に対しては普段から透明度の高い財務報告を行うインセンティブを与えることができるとまとめられた。

2013年度 第2回 リサーチセミナー開催のお知らせ

2013年11月28日|辻 正雄(早稲田大学)

日本管理会計学会会員各位

会員の皆様におかれましては、益々ご清祥のことと存じます。
この度、2013年度第2回リサーチ・セミナーを下記のとおり開催することになりましたのでご案内申し上げます。事前の申し込みは必要ありません。研究報告の内容や研究方法に興味をお持ちの方は、是非ご参集下さい。

■■日 時・会 場
● 日 時:2013年12月7日(土) 14時~17時15分
● 会 場:早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館819教室
●参加費:無料

■■プログラム
14:00~15:30
  ●報告者  新谷 理 氏(早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程)
  「RIV 及び OJ モデルを用いた株式市場における資本コストの研究 ~日本株式市場と海外市場の比較」
  ●ディスカッサント  矢内 一利 氏 (青山学院大学)

15:30~15:45  コヒーブレイク

15:45~17:15
  ● 報告者  藤原 靖也 氏(神戸大学大学院経営学研究科博士課程)
  「医療組織を対象とした管理会計研究の現状と課題 ~非営利組織の特質を踏まえた諸外国の文献レビューをもとに」
  ● ディスカッサント  妹尾 剛好 氏(和歌山大学)

■■お問合せ先: 2013年第2回リサーチセミナー準備委員長
 早稲田大学 辻正雄 mtsujiあっとwaseda.jp

2013年度第1回リサーチ・セミナー開催記

2013年6月21日|長坂悦敬(甲南大学)、星法子(白鴎大学)

2013research_1.jpg■■ 2013年度第1回リサーチセミナーは, 2013年6月15日(土)10:30~12:20に甲南大学岡本キャンパス5号館2階521教室において開催されました。リサーチセミナーは,若手研究者による発表の場として,2002年度から毎年度続けて開催されてきました。今年度第1回リサーチセミナーは,2013年度関西中部部会(同日午後)と同時開催となりました。当日のリサーチセミナー出席者は38名であり,日本管理会計学会の浜田和樹副会長から開会の挨拶の後、星法子(白鴎大学)の司会によりリサーチセミナーが進められました。2件の意欲的な研究発表に対して,フロアから有益なコメント、質問が数多く出て,活発な議論が展開されました。

第1報告 尾花 忠夫氏(関西学院大学大学院商学研究科博士後期課程)

「振替価格の設定に関する研究-ミクロ経済学的研究を中心に-」

2013research_3.jpg 尾花忠夫氏による第1報告では,以下の順序によって進められ,振替価格のミクロ経済的なアプローチを用いた研究が報告された。
 1 研究目的
 2 振替価格研究の背景
 3 博士論文における問題意識
 4 ミクロ経済における振替価格研究とその焦点
 5 おわりに
 尾花氏は,博士論文の問題意識とミクロ経済学的アプローチによる振替価格設定に関する研究のレビューについて報告を行った。問題意識は、R.G.Eccles(1985)による研究では今日の企業が行っている振替価格実務を説明するには不十分であるという点にある。彼が対象とした当時の企業と今日の企業では、取り巻く環境や戦略など多くの点で異なると考えられる。そこで、博士論文では彼の研究の洗練を目指す。
 また、ミクロ経済学的なアプローチを用いた今日の振替価格設定に関する研究が何を焦点としているのかを明らかにした。この点については椎葉(2002)、Gox&Schillar(2007)による分類を参考に考察を行った。すなわち、伝統的なミクロ経済学的アプローチ、エイジェンシー理論、不完備契約、戦略的振替価格設定である。これらの分類よりHirhsleifer(1956)の研究から今日に至るまでの流れを示し、各研究の貢献について述べた。その上で、研究の焦点が企業の戦略を達成するために振替価格の設定をどのように利用するのかという点に当てられていることを明らかにした。最後に企業の様々な戦略に適合した振替価格設定の利用に着目した研究が必要であることを述べ、今後の課題とした。

2013research_4.jpg 第1報告コメンテーター
椎葉 淳氏(大阪大学大学院経済学研究科准教授)
 尾花氏の報告に対し,椎葉氏は第一に,本研究の個別具体的な問題意識を特定することの必要性を指摘した。特に,尾花氏がとりあげた振替価格の先行研究には,さまざまな観点からなされた研究が混在しており,具体的なリサーチ・クエスチョンをまずは明確化しなければ,それらの先行研究と本研究との関係が不明瞭になることを指摘した。第二に,「戦略」という語が,経営戦略,事業戦略といった経営学や管理会計の分野で一般に用いられる内容を意味する場合と,ミクロ経済学,特にゲーム理論で定義されているところの「戦略」とが混ざっており,その点を明確に区別する必要があることを指摘した。

第2報告 金 紅花氏(新潟大学大学院現代社会文化研究科博士後期課程)

「日本企業におけるBSC導入事例について-戦略策定機能を中心に-」

2013research_5.jpg 金紅花氏による第2報告では,以下の順序によって進められ,BSC導入企業の事例が報告された。
 1 問題意識と研究目的,先行研究
 2 アンケート調査の概要と結果
 3 T社の事例研究
 4 むすびに
 金氏の報告は、アンケート調査と聞き取り調査を通じて、日本企業において、既に導入されている目標管理を前提して、これらに加えてBSCを併用することを念頭に置いた関係性(補完性)について考察することを目的としている。
 アンケート調査より、既存に目標管理の実施を前提とし、マネジメント・ツールしての運用上、新しくBSCを導入し、両手法を併用することで、BSCが目標管理を補完し、両手法間には「補完性」が存在していたことが分かった。
 一方、聞き取り調査より、BSCと目標管理の実施前後が逆となっていて、 既存に実施していたBSCによりカスケードされる戦略目標に対して、従業員がコミットメントを行うために新しく目標管理を導入し、両手法を併用することで、目標管理がBSCを補完し、両手法間には「補完性」が存在していたことが分かった。
 すなわち、事業セグメントBSCによる戦略策定機能と目標管理による業績評価機能は、戦略マネジメント・システムの枠で相互関連性が存在し、マネジメント・ツールの実効性が強化されていて、BSCと目標管理間には「補完性」が存在していると考えられる。

2013research_6.jpg第2報告コメンテーター
徳崎進氏(関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授)
  徳崎氏はまず、BSC研究の萌芽期のアジェンダともいえる「BSC-目標管理-方針管理の補完的な関係性」を、金氏が"相互排他性"を前提にあえてこの時点でアンケート調査と事例研究を用いて検証しようとした意図をただし、併用の妥当性が開発者を含む多くの研究者によって過去に論証されている点に鑑みれば十分な文献研究を踏まえた問題意識とテーマ設定であったのか顧みる必要があるとした。徳崎氏はまた、本研究ではリサーチ・クエスチョンが検証可能な仮説の形で設定されていない点や、質問調査データに定量的な分析が施されていないことによって、想定に反して目標管理をBSC導入後に併用している1社の事例研究が本来の追加的証拠収集手段として機能せず帰納的な普遍化に貢献し得るものに至らなかった点、BSCと方針管理の補完性の検証の議論が中途で消失している点、を要改善事項として指摘した。そのうえで徳崎氏は、質問調査の回答率低迷による度数の制約が所期の研究目的が果たされなかった主因であり、インタビュー企業の内情リポート部分にはいくらかの経営の効率や有効性を高めるための実践的な経営上のガイドラインの提起は見られたとして、金氏に、こうした研究の問題や限界・貢献を踏まえて、どのように今後の研究課題を展開していくのかに関して、展望を新たにするよう求めた。

2012年度 第2回 リサーチセミナー開催のお知らせ

2012年10月25日|小倉 昇(青山学院大学)

日本管理会計学会会員各位

会員の皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。
この度、2012年度第2回リサーチ・セミナーを下記のとおり開催することになりましたのでご案内申し上げます。今回は、事前の申し込みは必要ありません。研究報告の内容や研究方法に興味をお持ちの方は、是非ご参集下さい。

■■日 時・会 場
● 日 時:2012年11月10日(土) 14:00?16:30
● 会 場:青山学院大学青山キャンパス 17号館 3階 17302教室
渋谷駅(JR、メトロ、東急線、京王井の頭線)から徒歩12~15分
表参道駅(メトロ)から徒歩5分。
青山キャンパスまでのアクセスは、アクセスマップをご参照ください。
青山キャンパスの正門・東門・西門から17号館までの経路は、それぞれの門にいる守衛にお訪ね下さい
(大学のWEBサイトのキャンパスマップは、解りにくいのでお薦めできません)。

■■ 参加費:無料

■■プログラム
● 14:00  開会

● 14:10~15:10 第1報告   
 ▼ 「研究開発活動の測定・評価に関する一考察---実証研究のレビューを中心として---」
    間普 崇氏(関東学園大学)
● 15:10~15:20 休 憩(飲み物等をご用意いたします)
● 15:20~16:30 第2報告
 ▼ 「予算制度・年次計画への日本企業の期待と不満---質問紙調査による時系列比較---」
    丹生谷 晋氏(出光興産株式会社)
    小倉 昇氏(青山学院大学)

● 16:30 閉会

■■お問合せ先:ny-ogura"あっと"mvi.biglobe.ne.jp ("あっと"を半角の@マークに置換ください)
           青山学院大学 小倉 昇

2012年度 第1回 リサーチセミナー開催記 共催:日本原価計算研究学会

2012年8月31日|長屋信義(産業能率大学)・吉岡勉(産業能率大学)

■■ 2012年度第1回リサーチセミナーは,2012年6月23日(土)に産業能率大学自由が丘キャンパス2号館2階2201教室において開催されました。 リサーチセミナーは,若手研究者による発表の場として,2002年度から毎年度続けて開催されてきました。今年度は,日本原価計算研究学会との3回目の共催による開催となります。当日の出席者は30名であり,日本管理会計学会の長屋信義理事から開会の挨拶が,日本原価計算研究学会の小菅正伸副会長から閉会の挨拶がありました。当日は,意欲的な研究発表に続いて,建設的なコメントをいただき,参加者との間でたいへん活発な議論が展開されました。

■■ 当日のプログラムは,以下の通り進められました。(司会: 浜田和樹氏(関西学院大学))

● 第1報告 14:10~15:20
 ▼ 関谷浩行氏(城西国際大学)
  「戦略のカスケードと方針展開 ―医療機関の事例を中心に」
 ▼ コメンテーター: 荒井耕氏(一橋大学)
● ティータイム(15:20?15:40)

● 第2報告 15:40~16:50
 ▼ 妹尾剛好氏(和歌山大学)
  「戦略マップがマネジャーの心理に与える影響の考察 ―文献レビューを中心に―」
 ▼ コメンテーター: 新江孝氏(日本大学)

2012research1_1.jpg■■ 関谷浩行氏による第1報告では,以下の順序に従って進められ,戦略のカスケードと方針展開に関する事例研究が報告された。

1. 研究の概要(研究の背景,研究目的)
2. 戦略のカスケード
3. 方針管理とバランスト・スコアカード
4. 海老名総合病院の事例研究
5. まとめ

 関谷氏は,戦略のカスケードと方針展開について,アクション・リサーチの事例による考察を報告した。報告では,海老名総合病院におけるバランスト・スコアカード (BSC) の取り組み,その推進体制をはじめ,他病院におけるBSCとの違いについて,?目的(コミュニケーション・ツールから戦略実行へ),?戦略のレビュー(戦略マップの修正とダブルループ学習),?医師を含めた取り組み(アクション・プランを委員会と連動),を挙げた。また,戦略目標の業績指標へのカスケードに際し,戦略目標の達成を狙った特性要因図を用いて議論したことで,業績評価指標を絞り込むことができたこと,さらに,アクションにおける新たな知識共有が生まれたことが扱われた。
 まとめとして,方針管理では戦略の修正ができないこと,BSCでは戦略の可視化と修正が可能であること,上位組織と下位組織の指標が密接に関連していることの重要性が明らかになったとした。さらに,戦略目標のカスケードには,方針管理や特性要因図などの活用が効果的であるとした。

2012research1_2.jpg▼ コメンテーター(荒井耕氏)のコメント
 関谷氏の報告に対し,荒井氏は,各種の先行研究レビューの内容と,本研究における事例との関連を明確化することの必要性と,その事例に重点をおくべきとの点を指摘した。さらに,同事例におけるBSC導入の背景とその結果について,明らかにすることの必要性を指摘した。また,同事例と他病院におけるBSC利用の比較について,他病院のBSCの利用目的に関する記述に疑問を覚えるとの指摘がなされた。また,その他の今後の研究に示唆を与えるコメントが提示された。

2012research1_3.jpg■■ 妹尾剛好氏による第2報告では,以下の順序に従って進められ,戦略マップがマネジャーという個人の心理に及ぼす影響に関する文献レビューを中心とした研究について報告された。

1. 本報告の動機と目的
2. 戦略マップ研究の必要性
3. 分析の視点
4. どのような「因果関係」を示すのがよいか?
5. 戦略マップを誰がどう利用するか?
6. どのような心理的影響が生じるのか?
7. 今後の研究の方向性

 妹尾氏はまず,本報告において扱う研究全体の目的が,戦略目標・業績指標値間の因果関係に着目したものであることを説明した。そして,本報告では戦略マップに焦点をあて,マネジャー個人の心理に与える影響を分析した文献レビューの結果と,そこから見出される今後の研究の方向性を提示した。というのも,戦略マップはマネジメント・システムのツールとしてさまざまな組織階層のマネジャーが利用するとともに,PDSサイクルにおける各場面で利用されている。そこで,利用される場面・主体が異なれば,心理的影響も異なるというわけである。
 とくに戦略マップの利用主体については,戦略マップにおける因果関係の構築プロセスへの参画,戦略マップを用いた対話,因果関係の検証プロセスへの関与といった点の影響があるのではないかとの主張がなされた。また,今後の研究の方向性として,現場マネジャーに戦略マップを示すことが正の心理的影響を及ぼすのか,逆機能はないか,そもそも示す必要性があるのか,といった問題意識を提示した。

2012research1_4.jpg▼ コメンテーター(新江孝氏)のコメント
 妹尾氏の報告に対し,新江氏は,いくつかの関連する点を指摘した。たとえば,BSCや戦略マップの利用について,利用有無(とくに無)の回答主体が類似する別のものを利用している場合,本研究の結果に及ぼす影響が大きくなるのではないかという点,戦略マップ自体に効果があるのか,それとも戦略マップの作成者のスキルに依存するのではないか,戦略マップの利用方法による影響もあるのではないか,といった点,さらに,戦略マップの利用実践を明らかにしたうえで効果の検討を行う必要があるのではないかという点などについて指摘した。最後に,報告者の今後の研究に向けた期待とともに,示唆を与えるコメントが示された。

2011年度 第1回 リサーチセミナー開催記 共催:日本原価計算研究学会

2011年8月10日|小林啓孝氏 (早稲田大学)

■■ 2011年度第1回リサーチセミナーは,2011年7月23日(土)に早稲田大学早稲田キャンパス11号館9階913教室において開催されました。 リサーチセミナーは,若手研究者による発表の場として,2002年度から毎年度続けて開催されてきました。今年度は,日本原価計算研究学会との2回目の共催による開催となります。当日の出席者は27名であり,本学会の浅田孝幸会長から開会の挨拶が,日本原価計算研究学会の廣本敏郎会長から閉会の挨拶がありました。当日は,意欲的な研究発表に続いて,建設的なコメントをいただき,参加者との間でたいへん活発な議論が展開されました。

■■ 当日のプログラムは,以下の通り進められました。

● 第1報告14:00~15:20 司会: 横田絵理氏(慶應義塾大学)
 ▼ 吉岡勉氏(亜細亜大学大学院後期博士課程)
 「ホテル産業の戦略管理会計に関する研究」
 ▼ コメンテーター: 清水孝氏(早稲田大学)
● ティータイム(15:20~15:40) 

● 第2報告15:40~17:00 司会: 小林啓孝(早稲田大学)
 ▼ 福島一矩氏(西南学院大学)  
 「マネジメント・コントロールによる製品イノベーションの創発」
 ▼ コメンテーター: 伊藤克容氏(成蹊大学)

2011research1_1.jpg■■ 吉岡勉氏による第1報告では,以下の順序に従って進められ,ホテル産業の戦略管理会計に関する試案が提示された。

 1.ホテル産業の現状
 2.研究の目的,問題意識
 3.先行研究
 4.ホテル産業の戦略マップとバランスト・スコアカード
 5.今後に向けた課題

 吉岡氏は,ホテル経営における戦略の立案・可視化・浸透・カスケード・実践のための共通枠組みが必要ではないかとの問題意識のもと,ホテル産業において広く使用されている財務指標のRevPAR (Revenue Per Available Rooms)に着目し,これと戦略マップ,BSCを結びつけるという試案が提示した。
 RevPARは,客室売上/利用可能客室数であり,これは平均客室単価(ADR: Average Daily Rate)と客室稼働率(Occ: Occupancy rate)の積に分解できる。 吉岡氏は,RevPARの向上は,ホテル経営における業績指標の根幹という観点からRevPARを財務の視点における戦略尺度として,顧客満足・顧客維持・顧客獲得という観点から客室稼働率を顧客の視点における戦略尺度として,顧客は"価値"に対して対価を支払うという観点から平均客室単価を内部プロセスの視点における戦略尺度として設定するという試案が提示した。

2011research1_2.jpg▼ コメンテーター(清水孝氏)のコメント
 吉岡氏の報告に対し,清水氏は,Revenue ManagementにおけるRevPARの意義について触れた後,RevPARは「尺度」に過ぎず,尺度が設定される以前に戦略が明示され,戦略目標が設定されてそれに適合した尺度が選択されるのであり,尺度が初めにありきではない,その他RevPAR使用に関する注意点を指摘した。また,BSCでは戦略→戦略目標→尺度→目標値→アクションプランへと分解していくのであり,ホテルの戦略によってマップもスコアカードも異なってくるはずであり,こうしたストーリーを考えていく必要があるのではないか,その他の今後の研究に示唆を与えるコメントが提示された。

2011research1_3.jpg■■ 福島一矩氏による第2報告では,以下の順序に従って,マネジメント・コントロールによる製品イノベーションの創発についての実証研究が提示された。

 1.イントロダクション(問題意識・研究目的)
 2.分析フレームワーク
 3.研究方法
 4.分析結果と考察
 5,インプリケーションと残された課題

 福島氏は,従来の研究のサーベイから従来の研究では製品イノベーションのタイプを分別していなかった,マネジメント・コントロールの組織プロセスへの影響を介した製品イノベーション促進・抑制の検討が行われていなかったとの問題意識から,イノベーションを革新的イノベーションと漸進的イノベーションの2タイプに分別し,これらのイノベーションに対するマネジメント・コントロールの直接的影響および組織プロセスを介した間接的影響を実証的に検討することとした。そのために,全国の証券市場上場の製造業に対し,アンケート調査を行い,まず,因子分析によって需要と思われる因子を推定し,これに基づいて共分散構造分析を実施して因子(変数)間の影響関係の推定を行った。その結果,(1)製品イノベーションのタイプにより,(予算管理を用いた)マネジメント・コントロールが製品イノベーションの促進・抑制に与える影響が異なる,(2)(予算管理を用いた)マネジメント・コントロールによって漸進的イノベーションの促進・抑制のバランスをとれる可能性がある,(3)製品イノベーションのタイプを問わず,理念システムは製品イノベーションを促進する効果がある,というインプリケーションが得られたことを示した。

2011research1_4.jpg▼ コメンテーター(伊藤克容氏)のコメント
 福島氏の報告に対し,伊藤氏は,問題領域の重要性にもかかわらず,研究蓄積が不十分である領域の研究に取り組み,先行研究に関する網羅的な文献調査を実施した上で,首尾一貫した研究デザインに基づいて質問調査票調査を実施したことを高く評価した。一方で,Simonsの研究枠組みに基づきながら境界システムを対象としなかったことに疑問を提示すると共に,将来の研究では,マネジメント・コントロール概念自体が拡張しているところからSimonsの枠組みに基づくこと自体の検討やイノベーションに関する諸見解とマネジメント・コントロールの影響関係についてより踏み込んだ研究を行ったらどうかとの示唆をした。

2010年度第1回リサーチセミナー開催報告記 共催:日本原価計算研究学会

2011年4月30日|辻 正雄氏(早稲田大学)

■■ 2010年度第1回リサーチセミナーは,2010年12月11日(土)に早稲田大学早稲田キャンパス11号館7階710教室において開催されました。 リサーチセミナーは,若手研究者による発表の場として,2002年度から毎年度続けて開催されてきました。今年度の開催は,日本原価計算研究学会(会長:廣本敏郎氏)との共催による記念すべき大会となりました。これまで内外の学会とのコラボレーションの成果をあげるべく努めてまいりましたが,本年度は,皆さまのご支援を賜り,同じような領域を研究対象とする日本原価計算研究学会と協力してリサーチセミナーを開催するという形ある成果をあげることができました。 今回のリサーチセミナーでは,共催ということから,それぞれの学会からお一人ずつご報告いただき,それぞれに講評いただく方をお願いすることになりました。両学会には重複して会員である方々が大勢おられますが,当日は50名を超える方々がご参加くださり,優れた研究発表に続いて,建設的なコメントをいただき,参加者との間でたいへん活発な議論が展開されました。 今回のリサーチセミナーの共催を皮切りに,両学会によるコラボレーションがさらに活発に進められますことを切に願う次第です。

当日のプログラムは,以下の通り進められました。
● 第1報告 14:00~15:30
 司会 廣本敏郎氏(日本原価計算研究学会会長)
 ▼ 鈴木寛之氏(一橋大学大学院商学研究科博士後期課程)
  「自律的組織の利益帰属にみる正常利益概念に関する研究 ―京セラグループの事例を中心に―」
 ▼ コメンテーター:原田拓郎氏(京セラグループ)
● コーヒーブレイク 15:30~16:00

● 第2報告 16:00~17:30
 司会 辻 正雄(日本管理会計学会会長)
 ▼ 花村信也氏(早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程)
  「敵対的TOBと経営者の情報開示」
 ▼ コメンテーター:鈴木孝則氏(早稲田大学大学院会計研究科)

■■ 鈴木寛之氏による第1報告では,以下の順序に従って,京セラグループの事例を中心にして,自律的組織の利益帰属にみる正常利益概念に関する研究の成果が報告されました。

1. 問題意識
2. 研究対象・研究方法
3. 京セラにおける利益帰属と正常利益概念
 (1) 京セラにおける利益帰属
 (2) 収益帰属における正常利益概念の考慮
 (3) 利益帰属の2つのパターン
4. 利益帰属および正常利益概念の拡張
 (1) 集権的利益帰属と自律的利益帰属
 (2) 集権的収益帰属と正常利益概念
 (3) 自律的収益帰属と正常利益概念
 (4) 正常利益の水準
5. 結論と課題
 鈴木寛之氏の研究から導かれた結論は,以下の通りです。

・収益帰属はトップマネジメントまたはスタッフによって集権的なルール設定のプロセスを通じて,あるいは各責任単位組織のリーダーまたはミドルマネジメントによって自律的な振替価格交渉のプロセスを通じてなされる。
・集権的収益帰属の場合,正常利益概念はルール設定において設定者であるトップマネジメントまたはスタッフによって考慮される。
・自律的収益帰属の場合,正常利益概念は振替価格交渉などにおいて交渉者である各責任単位組織のリーダーまたは介入者であるミドルマネジメントによって考慮される。
・京セラにおける収益帰属では,集権的収益帰属と自律的収益帰属とが併存している。
・自律的組織において自律的収益帰属がなされることは組織構成員の自律性や企業家精神を引き出すものであり,その重要性は言を俟たない。しかし,ルールの設定を通じた集権的収益帰属を行うこともまた必要であり,そのことは必ずしも自律性を阻害するものとはならない。
・自律的組織のための管理会計システムは,組織に所属する全構成員が正常利益概念を認識・理解して,集権的または自律的に収益帰属を行うことを要請する。

■■ 第2報告の花村信也氏による研究は,経済学に依拠した解析的なアプローチにより,TOBの脅威が経営者の行動と財務情報の開示にどのような影響を与えるかを分析したものです。本研究におけるモデルの解析から,買収者と企業とが敵対的な関係であっても買収者に対して企業が財務情報を開示するならば,経営者は企業価値を最大化することとなり,TOBの脅威が経営者に財務状態の真実報告を促すことになる,という結果が導かれました。事前警告型の買収防衛策などTOBのコストを増やす施策は経営者の規律付けに逆の効果をもたらすことも示されました。
 花村氏の研究から導かれた結論は,以下のようにまとめられます。

・敵対的買収者がTOBをかけるにあたっては,通常株式の一部を取得しており,6か月以上,3%超株式所有者の帳簿閲覧権から経営状況を事前に知りえる立場にある。この場合,TOBの脅威は企業価値を向上させると同時に,経営者の動機付けからも好ましいものとなる。このときの動機付けは,状況が悪いときに状況をよく見せかけるときにTOBの脅威が高まれば,企業価値が高まり経営者の努力水準は高まる,ということになる。
・情報の非対称が存在しないのであれば,企業価値を最大化することに経営者が徹している限りTOBは発生しない。この点は,買収防衛の基本が,事前警告型の買収防衛策などを導入することではなく,経営者が企業価値を最大化すると同時に財務情報を開示していくことである,という一般に言われていることと合致する。
・情報の非対称が存在し,経営者の財務情報の開示という観点からすれば,財務情報を開示することでTOBの脅威が経営者に真実報告をさせることとなり,また,企業価値の最大化の観点からも財務状態が悪いときに良いと見せかけるとTOBの脅威が増すこととなる。

2009年度第2回リサーチセミナー開催報告記

2010年4月15日|加藤惠吉氏 (弘前大学)

■■ 2010年3月13日午後2時より,筑波大学東京キャンパスにて,日本管理会計学会2009年度第2回リサーチセミナーが開催された。今回のフォーラムは,小倉昇氏(筑波大学)の司会のもと,若手研究者の特徴ある2つの実証研究が紹介された。当日の参加者は各大学の研究者及び企業の経理および管理会計担当者等18名で,活発に質問・意見交換等が行われ非常に内容のあるリサーチセミナーとなった。

■■ 最初の報告は,吉井貴充氏(筑波大学大学院)より「研究開発投資の会計処理に関する一考察」というテーマで報告がなされた。わが国の研究開発費の会計処理に関しては2000年度以降,FASB基準同様に支出があった決算期に費用計上されている。吉井氏は,わが国でもIFRSへの適用が検討されるなか,IFRS基準では開発費においては一部資産化が盛り込まれていることに着目する。もちろん,研究開発費に対する資産計上に関しては,研究開発投資(R&D)と将来利益との関係が不明瞭な上,不確実性が存在する。吉井氏はここで,わが国において2000年以降,R&Dについて,注記計上及び販管費計上する企業が増加し,繰延資産計上する企業が減少している点に着目する。そして,わが国の会計基準変更後のR&Dを対象に業種毎の適切な会計処理と業種間の相違について研究を展開した。
 発表においては,先行研究にもとづき(1) R&Dと将来利益との関連性をR&Dと将来利益のタイムラグを検出できるかどうかで検証する研究と,(2) R&Dが将来利益の不確実性(5年間の経常利益の標準偏差)に与える影響を設備投資の投資リスクと比較することにより検証するという2つの視点から会計処理を実証的に評価している。
 実証分析の結果,サンプル産業の全業種で3年以上のラグ期間が存在することが確認され,R&Dと報告利益の間の関連性が示唆された。また,サンプル企業のうち化学,医薬品,精密機械の各産業については投資リスクへの正の影響が確認されたが電気機械・自動車については確認ができなかった。結論として吉井氏は,化学,医薬品,機械,精密機械などの産業では開発費の費用処理が支持されるが,電気機械産業と自動車産業は開発費の資産化が示唆されると考察した。
 報告の後,質疑応答では,吉井氏の今後の課題としてはモデルの精緻化やサンプルデータの拡張,最近のM&A事例の増加でサンプル企業のグループの課題などいくつかの意見が出された。また,提示したモデルの独立変数のあてはまり具合の検討など出席者から非常に有益な意見が出され活発な議論が行われた。

■■ 次に,鈴木竜児氏(公認会計士・早稲田大学大学院)より「多角化経営におけるシナジー効果の評価と分析」のテーマで報告が行われた。鈴木氏は (1) シナジー効果の評価 (2) シナジー効果に基づく企業価値の実証分析について報告を行った。そのなかで,研究方法として,(1)については,セグメント報告書のセグメント間取引の割合に着目して多角化企業を関連多角化・非関連多角化に分類する方法を試行し,また,(2)については,「超過価値アプローチ」(株価リターンの業界平均からの超過)によって企業価値を評価する方法を採用した。
 仮説の設定にあたり鈴木氏は,シナジー効果の評価については,多角化企業は,業種を意識した事業展開よりも,事業間のビジネス上のつながりや事業相互間のシナジー効果を期待して事業を展開していると考えられ(事業実態面),また,事業間のつながりやシナジー効果が経済活動に現れるものと想定すると,「事業の種類別セグメント情報」に財務数値として反映される(財務数値面)と想定している。次に,シナジー効果に基づく企業価値の実証分析について鈴木氏は,非関連多角化企業や専業企業に比べて,セグメント間取引の比率が高い関連多角化企業は,高い水準の超過価値で評価されているとの実証結果を導いた。  
 鈴木氏の報告後,星野優太氏(名古屋市立大学)がコメンテーターとして詳細なコメントおよび提言を述べた後に,質疑応答及び議論が行われた。なかでも多く議論されたのが,「シナジー効果」についてであった。この,シナジーの定義,分析モデルについて各参加者の様々な考え方や研究方法の提言については多くの議論があった。そして,議論途中で質疑時間終了となったが,司会者の判断で任意の議論に切り替えたが,多くの参加者が最後まで残り,様々な意見が交わされた後に今回のリサーチセミナーは終了となった。

2009年度第1回リサーチセミナー開催報告記

2010年1月25日|リサーチセミナー責任者 淺田 孝幸氏(常務理事・大阪大学大学院経済学研究科教授)

■■ 2009年10月10日,午後,大阪大学豊中キャンパス,待兼山会館において, 2009年度第1回リサーチセミナーを開催した。当日は,討議者:加登豊先生(神戸大学), 武富為嗣先生(日本工業大学),それに,司会として,中川優先生(同志社大学) の下に,2名の方(山根里香先生,キムジェウク氏)が報告を行い,それについ て,順次,2名の討議者ならびに,司会による補足質問について,報告者から回答を得た。

■■当日の参加者数は,時期的な問題もあり,少数であったが,上埜進先生(甲南 大学),大鹿智基先生(早稲田大学)から当日の報告者である,山根里香先生(東京理科大学) ならびに,キムジェウク氏(大阪大学大学院博士後期課程)に質問があり,活発な討議をおこ なった。最後に,閉めとして,加登豊先生より,外国雑誌(アカデミックジャー ナルに限定)に投稿する上での注意事項や知っておくべき基礎的な項目について, 説明があった。院生諸氏にとってはとりわけ意義ある内容であったと思われる。

■■会議の閉会後に,同じ建物内のレストランにおいて,懇親会を開催し,7時すぎにお開きとなった。なお,報告者のテーマならびに,セミナー・スケジュールは,以下のとお りである。

■ 第1報告 : 山根里香氏(東京理科大学) 14:00~14:55
"The Functions of Strategic Management Control for NPD Performance Enhancement"

■ 第2報告 : Kim Jae Wook氏(大阪大学大学院経済学研究科後期課程) 15:10~16:05
"The Relationship between Program Management Control and Product Development Management Control: The Case of Japanese Manufacturing Industry"

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